木村哲也
バイオリン製作家

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【描いてみよう】Gasparo da Salo Viola Part 4

アッパーバウツを描く

Part 3を終えた時点では、ローアーバウツとミドルバウツが出来ています。

では、残りを完成させましょう。

Xを中心として、半径がXQの弧を描きます。

同じくXを中心とし、半径がXQ-1/3qq’になる弧を描きます。

qの垂直線から距離が1/3qq’になる位置に垂直線で印をつけます。このとき、先に描いておいた弧と交わるようにしてください。

この弧と線との交点を中心に、半径が1/3qq’の円を描きます。

e線からq線までの距離をZ線上で5等分し、e線から数えて1つ目に印をつけます。

その印を中心にし、半径が2/3qq’になる弧を先程の手順で描いた円と交差するように描きます。

円と弧の交点を中心とし、半径が2/3qq’になる弧を描きます。

同じ円と弧の交点を中心とし、今度は、半径が2/3qq’+1/2NZになる弧を描きます。

Z線から1/2NZ、上へ垂直に測り、水平線をたった今描いた弧を交差するように描きます。

この弧と直線の交点を中心とし、半径が1/2NZとなる円を描きます。

全体を再チェックし、不必要な弧や線を消し、整えていきます。

オリジナルのガスパロ・ダ・サロや他のブレシア派のコーナーの形は、精密とはとてもいえません。

よって、コーーナーの長さや末端部分の角度も楽器により異なりますが、ここで紹介している『Harshman, Sandeman』のコーナーの末端の角度は、だいだいこのような図に沿って、出来ています。

こちらが、コーナーを完成させた図になります。

『Harshman, Sandeman』のf孔をオリジナルの配置のまま、試しに並べてみると、こうなります。

輪郭と中心線以外を取り除いた完成図です。

完成図と『Harshman, Sandeman』の輪郭を重ねてみると、こうなります。黒線が今回デザインを製図したもの、赤線がオリジナルの輪郭になります。

『Harshman, Sandeman』は、ガスパロ・ダ・サロの作ったビオラの中でもあまりないデザインで、ミドルバウツの幅が他の部分と比べて非常に広くなっています。

オリジナルの寸法のままでデザインすると、ボディの長さが440mmを超えてしまうので、もし、このモデルでビオラを作ってみたいという方は、420mm以下になるようにしたほうがよいでしょう。

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