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2011 Bergonzi Copy

アーチのデザイン

ヴァイオリンのデザインと聞くと、まず思い浮かべるのがボディの輪郭ですよね。しかし、表裏板の膨らみ、つまり『アーチ』も楽器の音色と密接に関係するデザインの要素です。では、そのアーチはどのようにデザインされているのでしょうか。 16〜18世紀半ばのクレモナのヴァイオリンのアーチの美しさには目を見張ります。同じクレモナの楽器でも、アーチには様々なスタイルがあり、同じ製作者が作ったものでも時期が違えばおもむきが正反対のアーチを使っていたりします。しかし、彼らのアーチにはいつもなにか共通した文法のようなものが存在しています。常に美しくありながら自由度が高いデザインの方法を知っていたのでしょう。クレモナの巨匠がアーチのデザインを得るためにおそらく使っていただろうと現在幅広く認められているのが、短縮サイクロイド曲線(Curtate Cycloid)というものです。短縮サイクロイドを使ってオールドヴァイオリンを分析し発表したのはトゥリオ・ピゴリ (Tullio...

2006 Andrea Guarneri Viola

アンドレア・グァルネリをベースにしたヴィオラです。 製作年:2006年ボディ長さ:413mmアッパーバウツ:196mmセンターバウツ:131mmローアーバウツ:242mm

2006delGesu

色付きオイル

私が普段調合して使うオイルニスは顔料を加えなくても濃い色をしています。この色は樹脂を長時間加熱することで得られるものですが、それ以外にもニス自体の色を濃くする方法があります。オイルに色をつける方法です。 材料;亜麻仁油(又はくるみ油) 1kgガンボーギ 360gアロエ・フェロックス 360gバーントアンバー(粉体) 小さじ1材料を全てアルミまたはステンレス鍋で150℃から180℃まで熱し、その状態で6時間ほど煮込みます。この際、蓋はしないでください。少し冷ましてからフィルターでこしたら出来上がりです。あとは好きなオイルニスのレシピで樹脂と調合させて使ってください。この色付きオイルを私が使っていたのは10年以上前になります。鮮やかな黄金色が出るのですが、ニスの粘度が上がるのとガンボーギの毒性が気になるので長女が生まれたのを機会に使用を止めました。作ってみたいという人はくれぐれも健康に配慮をして行ってください。

2016 Copy of Domenico Montagnana

ショートオイルニス

一般的なオイルニスでも特に樹脂の割合がオイルに比べて高いものを『ショートオイルニス』(Short Oil Varnish) とよびます。2010年にStefan-Peter...

ハイアーチ

ヴァイオリンの作りと音の関係を説明するときによく使われる言葉が「ハイアーチ」です。隆起が高い楽器のことを表しているのですが、一言にハイアーチといってもその形状は様々です。 ヴァイオリンを実際に作ってみればよくわかることなのですが、隆起の高さが決まったからといって自動的にアーチのデザインが決まるわけではありません。例えば上の画像にあるカルロ・トノーニ(Carlo Tononi)。彼の作品のアーチにはヴェネチアのメーカーが好んで採用していたシュタイナー・タイプのものと、どちらかといえばストラディヴァリに近いもう少しフラットなものがあります。上のものはシュタイナー・タイプのものです。パフリング周辺の隆起の堀が深いのと、センターに向けて盛り上がる隆起がどこか箱のような作りをしているのがわかるますか?  もちろん、同様に堀が深いハイアーチでも製作者によってはおもむきがガラリと変わります。画像にあるのは17世紀クレモナの製作者フランチェスコ・ルジェリ(Francesco...

『知っているようで知らない名器の逸話』

弦楽専門誌『ストリング』でおよそ二年ほど連載されたコラムでは、オールドの名器と製作者たちをわかりやすく紹介しました。ここに連載で取り上げたヴァイオリン製作者/楽器の一覧を載せておきます。興味を惹く記事が見つかりましたら、ぜひ、バックナンバーを取り寄せてご覧になってください。 2010年10月号 アントニオ・ストラディヴァリ 1716年作 『メサイア』 (Antonio Stradivari...

Serafin

Santo Serafin

ニスが塗られている木の肌の色と質がニスの見栄えに与える影響は非常に大きいことは知っていますか。通常オールドにはリタッチ(色直し)という修理がされているため、この木の色を裸の状態で見ることは稀です。一見ニスがはげてしまっている箇所も実は巧妙にリタッチが施されていたり、汚れていたりするため実際の色よりも濃く見えていることがほとんどです。オールド・イタリーは黄金色の下地を持っているなんていう話をよく聞きますが、大抵の場合、想像するよりもずっと薄い色をニスの下の木はしています。写真にあるのは事故でニスが取れてしまったセラフィンの裏板です。オリジナルに近い状態で残っているニスはCバウツのパフリングの辺り。同じCバウツでも楽器のセンターよりで見られるのは、一度ニスがはげてしまった木を再びリタッチによってカバーした状態です。新たにニスが取れてしまった箇所と色の違いをくらべてみてください。

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