ニス


旧ブログのエントリーでも説明したのですが、私がニスを塗るときには色が強いものを1〜3回に分けて塗ります。このビオラを塗装した際の写真を見てください。 始めの画像は目止めなどの下地処理が終わった状態のスクロールです。この渦巻きの黒い縁取りが気になる方は、ストラディヴァリウスのスクロールその2を読んでみてください。 そして次の写真がニスを1層塗った状態です。違いがよく分かるように、塗装途中で写真を撮ってみました。 1層のニスがどれだけ濃い色をしているのかがよく分かりますよね。

ニスの色の濃さ


亜麻仁油に色をつけるには? 私が普段調合して使うオイルニスは顔料を加えなくても濃い色をしています。この色は樹脂を長時間加熱することで得られるものですが、それ以外にもニス自体の色を濃くする方法があります。調合前のオイルに色をつける方法です。 材料 亜麻仁油(又はくるみ油) 1kg ガンボーギ 360g アロエ・フェロックス 360g バーントアンバー(粉体) 小さじ1 材料を全てアルミまたはステンレス鍋で150℃から180℃まで熱し、その状態で6時間ほど煮込みます。この際、蓋はしないでください。少し冷ましてからフィルターでこしたら出来上がりです。あとは好きなオイルニスのレシピで樹脂と調合させて使ってください。 私が入手したレシピにはドラゴンズブラッドも300gほど含まれているため、初めて作ったときには私も使ったのですが、その色がオイルに本当に抽出されているのか疑問で、2回目以降は使わなくなりました。本来、ドラゴンズブラッドはアルコールニスの着色用です。オイルニスにも使用できないかと、様々な方法が試されたようですが、成功例は聞いたことがありません。 この色付きオイルを私が使っていたのは2007年までです。鮮やかな黄金色が出るのですが、ニスの粘度が上がるのとガンボーギの毒性が気になるので長女が生まれたのを機会に使用を止めました。作ってみたいという人はくれぐれも健康に配慮をして行ってください。

リンシードオイルに色をつける方法


短いオイルニス?なにそれ? 『ショートオイルニス』(Short Oil Varnish) と呼ばれるニスがあります。どんなものか分かりますか? Shortという単語を聞くと「短い」という訳がすぐに思いつきますよね。「短いオイルニスって、なんじゃそりゃ」と思ってしまいますが、Shortには「十分ではない、足りない、乏しい」という意味も含まれているので、この場合は「オイルが乏しいニス」となります。 オイルニスは乾性油と樹脂を混ぜ合わせて作りますが、出来上がったニスの性質はこのオイルと樹脂の割合に大きく影響されます。 そこで、オイルニスのなかでも特に樹脂の割合がオイルに比べて高いものを『ショートオイルニス』と呼ぶようになりました。逆にオイルの割合が樹脂に比べて特に高いものはどう呼ばれているか想像できますか? そう、『ロングオイルニス』(Long Oil Varnish)です。 ストラディヴァリのニス? 2010年にStefan-Peter Greiner とBrigitte Brandmairによって書かれた本『Stradivari Varnish』が出版されてからというもの、このショートオイルニスの人気が高まっています。というのも『Stradivari Varnish』で著者がストラディヴァリウスに塗られたニスに近いのではないかとするのが、オイルと樹脂の重量比が 1:4のショートオイルニスだからです。 近年の研究では、Stefan-Peter Greiner とBrigitte Brandmairの他にもJean-Philippe Echardがストラディヴァリウスのニスはショートオイルニスだったのではないかと論文で述べています。 では、この類のニスにはどのような特徴があるのでしょうか? ショートオイルニスの特徴 ショートオイルニスの特徴を挙げましょう; オイルニスを調合する際、加熱処理により色を濃くできるのは樹脂なので、その割合が高いショートオイルニスではニスの厚みに対する色の濃さが強くなる。 磨きやすい。 剥がれやすい。 […]

ショートオイルニス



サント・セラフィンのニスが部分的に剥げて木材の表面がむき出しになっている裏板
ニスが塗られている木の肌の色と質がニスの見栄えに与える影響は非常に大きいことは知っていますか。通常オールドにはリタッチ(色直し)という修理がされているため、この木の色を裸の状態で見ることは稀です。 一見ニスがはげてしまっている箇所も実は巧妙にリタッチが施されていたり、汚れていたりするため実際の色よりも濃く見えていることがほとんどです。オールド・イタリーは黄金色の下地を持っているなんていう話をよく聞きますが、大抵の場合、想像するよりもずっと薄い色をニスの下の木はしています。 写真にあるのは事故でニスが取れてしまったセラフィンの裏板です。オリジナルに近い状態で残っているニスはCバウツのパフリングの辺り。同じCバウツでも楽器のセンターよりで見られるのは、一度ニスがはげてしまった木を再びリタッチによってカバーした状態です。新たにニスが取れてしまった箇所と色の違いをくらべてみてください。

Santo Serafin